便秘に悩んでいる方は多いと思います。女性では20~60歳代の50%以上が便秘に悩んでいるといわれています。ところが男性でも70歳代を超えるとかなりの方が便秘を訴えられます(便秘の有訴者の表参照)。 排便が順調に行われていない状態を便秘といいますが、人によって苦痛に感じる症状は異なり、回数の減少、便が固い、量が少ない、残便感など様々な症状が含まれ(便秘の症状参照)ます。2017年に慢性便秘症ガイドラインが提言され、便秘とは『本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態』と定義されました。つまり、排便に様々な不快な症状が伴う場合便秘である可能性があります。当院では十分な問診の上、便秘の原因となる病態を把握し、総合的に便秘診療を行っていきます。 便秘の原因 様々な原因がありますが、大きく分けると『器質性便秘』と『機能性便秘』に分類されます。器質性とは大腸がんなど大腸そのものの異常により便が大腸を通過するのに障害が出て生じるものです。機能性は、さらに3つに分類され、便の通過時間が遅いタイプ、便の出口が緩まないタイプ、現在型(生活習慣病タイプ)があります。 大腸の蠕動が弱まると、便がなかなか運ばれないため便からの水分が過剰に吸収され便が固くなり排便されづらくなります。これが通過遅延による便秘です。 便の出口が緩まないタイプは、老化などにより骨盤底筋などが衰え肛門括約筋の機能が落ちることにより生じます。 現代型の便秘は大腸や直腸肛門に異常がないのに生じるものです。ダイエットによる食事量・水分量減少や偏食による食物繊維不足、仕事などのために便意があってもトイレに行くことができずに我慢している間に便が固くなってしまう、などが原因です。 危険な症状 また、便秘の中でも以下の症状は警告症状と呼ばれ、大腸ポリープや癌などの器質的な異常が疑われます。 便秘の治療を始めるにあたり最も重要なことは、「大腸がんがないことを確認する」ことです。当院では、大腸内視鏡 腹部エコー検査 レントゲンなどが可能です。ぜひご相談ください 治療薬について 食事指導、排便習慣指導、生活指導など行ったうえで、適応を十分考慮したうえで薬を処方します。便秘の程度は人により様々です。一人ひとりに合ったお薬の種類、組み合わせ、量を見つけていきます。 吸収し便を柔らかくする ラクツロース など 便を柔らかくする リナクロチド など 増して便を膨化 カルボキシメチルセルロース など ピコサジル など 理想的な排便姿勢について スムーズに排便するには、上手にいきむことが大事です。本来、和式トイレ時の蹲踞(そんきょ)の姿勢が最も理想的とされています。しかし、トイレの洋式化や高齢者では足腰が弱りなかなか難しいと思います。洋式トイレの場合、前かがみになり、腿とお腹が近くなるようにすると排便しやすくなります。いわゆる『考える人』のポーズです。ぜひお試しください 便秘は一人で悩んでる方も多いかと思います。大きな病気が隠れていることもあり、どんなことでもまずはご相談ください。
浸透圧下剤
浸透圧の原理で腸内の水分を
酸化マグネシウム
上皮機能変容薬
小腸の持つ水分分泌機能を高め
ルビプロストン
膨張性下剤
便に水分を浸透させ便のカサを
ポリカルボフィルカルシウム
刺激性下剤
腸を直接刺激して腸管運動を誘発
センナ
過敏性腸症候群とは 下痢や便秘、腹痛、ガス、おなかの張り、ゴロゴロするなどの症状は、体質のせいとか我慢すれば治ると考えていませんか。この症状は『過敏性腸症候群』の可能性があります。現在日本人の14%、10人に1人がこの病気に悩んでいるといわれています。 原因 この病態の発症には、遺伝的要因 ストレス要因などがかかわっているとされています。ストレスを感じる脳と腸は自律神経でつながっており密接な情報交換が行われるという『脳腸相関』があるために、便通異常が生じます。 症状 症状としては、腹痛やおなかの張り 腹鳴(おなかがごろごろなる)おならがでるなどの腹部の不快感が中心です。 検査と治療 まず、内視鏡検査 エコー検査 血液検査などを行い器質的な病変(癌、ポリープなど)の除外を行います。その上で、適度な運動・食事 生活リズムの安定化などを図ります。また、ストレスの原因(環境の要因 精神面 身体面)などの見直しをした上で、改善可能なものは改善を心がけます。 しかし、仕事面など、なかなか改善が難しい要因もあります。便秘下痢などの症状に応じて、症状を緩和させる薬もありますので、ぜひご相談ください。
検査を行っても病気は見つからず、腹痛や下痢 便秘などの便通異常の症状が慢性的に繰り返される状態です。症状別に 下痢型 便秘型 混合型(交替型)分類不能型に分けられます。